ミステリークイズです!
「やれやれ、乗せてもらえて助かりました」青年はナップザックを背中から降ろして、
エアコンの効いたパトカーのハンドルを握っているモナハン保安官の隣の助手席に乗り込んだ。「まさかパトカーをヒッチハイクしたからって、逮捕されたりはしないですよね?」
「今日はな」保安官が答えた。
「それほど暇じゃないんだ」
青年はほっとしたように笑みを浮かべた。そしてナップザックからチョコレート・バーを取り出すと、それをパキンとふたつに割って、半分を保安官に差し出した。
「いや、結構」アクセルを踏み込みながら、保安官が答えた。
「誰か追跡でもしているんですか?」
「ついさっき、ファースト・ナショナル銀行が四人組の強盗に襲われてな。黒い大型セダンで逃走したんだ」
「えっ」ヒッチハイカーは驚いた。「ほんの十分前に黒いセダンを見ましたよ。それも四人の男が乗っていました。もう少しでひかれるところでしたよ。一時間も待って、ようやく通りかかった車だったのに。でも、その車は左に曲がって西に向かいましたよ。北じゃなくて」
それを聞いたモナハン保安官は急ブレーキをかけて、車を Uターンさせた。青年はオレンジの皮をむき始めたが、皮はきちんと紙袋に入れていた。
「道路にかげろうが立ってるな」保安官が言った。「今日は日陰でも摂氏三十度近くはあるだろうな」
「そうでしょうね」ヒッチハイカーも頷いた。「あれ、曲がり角を通りすぎましたよ。
どこに向かっているんです?」
「警察署さ」保安官がぶっきらぼうに答えた。ハレジアン博士はその話をきいて、保安官の決断に心から賛辞を送った。
Q.どうして保安官はまっすぐ警察署に向かったのでしょうか?